優勝艇「レティシア」よりのコメント
                                       
スキッパー 五十住

   
  2001年5月27日の朝、どしゃ降りの雨が降っていました。

そのどしゃ降りの雨の中でレースがあったのです。

マリーナから「海ホタル」を回って帰ってくるレースをやろうじゃないか、という話がでたのは
去年のTYC忘年会のときでした。
レーサークラスBでライバル関係にある強豪?4艇 「WINDY」,「WISH」,「WIZ」,そして「レティシア」。
「いやいや、WINDYさんは速い、とてもかないませんねー」「いえいえとんでもない、WISHさんこそ速いじゃないですか」
「何をおっしゃいます、WIZさんの走りはすばらしい」「レティシアさんもまあまあ・・・」
という会話からだったのか、それとも
「何言ってんの、うちが一番速いよ」「冗談じゃない、おたくに負けるわけがない、なんならレースやろうか?」
「おうおう、やってやろうじゃないの、誰が速いか決着をつけよう・・・」
という会話からだったか、なにぶんにも酔っ払ってたので記憶は定かでない。
が、とにかく、4艇でビール1カートンを賭けたスクラッチのロングレースをやろうということがその場で決まったのです。

その決戦の日がこんなどしゃ降りの雨になってしまったのです。

こんなすごい雨だし、レースはきっとやんないだろうと、少し遅れてマリーナへ着いたら
他の艇のメンバーはみんな合羽を着て、ちゃんと集まっている。
「すごい雨だからレースは中止にして、 皆で酒でも飲みましょう」と提案したら、
ウイッシュの赤星さんは例のクールな表情で「いや、予定とおりやります」とのこと。
他艇のメンバーはさっさと艇に乗り込みレース海面へ向かっていってしまった。

まったくこんな雨の中でレースなど、なんと酔狂なと思いつつも、それから急いでオーニングをはずし、
セールを運び擬装をはじめる。
ビショ濡れになりながら、なんとか艇の用意をしてスタート海面に向かってひた走りに走る。
ギリギリスタート15分前に到着、なんとか間にあった。

次にスタートであるが、なんと4艇でゼネリコをしてしまった。
その後のスタートでWINDYは定刻とおりきれいにスタートして行った。
ところがWISH,WIZ,そしてレティシアの3艇は潮を読み違えたのと、
風がぱったり止まってしまったので、スタートできない、却ってスタートラインからどんどん遠く流されていく。
その3艇を尻目にWINDYは海ホタルへ向かいもやの中へ消えていく。
やっと風が吹いてきて残された3艇がスタートできたのはWINDYがスタートしてからなんと40分後。

誰が考えても40分も前にスタートしたWINDYが優勝すると思うでしょう?
ところが勝負と言うのは面白いもんで、優勝したのは、
誰も勝つとは、当の本人たちも思ってもいなかった、3番目にスタートラインを切った「レティシア」だったのです。

途中いろいろありました。
海上保安庁の観閲式があったとか、三角形の2辺の和は他の1辺より長いとか
まあ、そんなこんなで勝利の女神の美しい微笑みは「レティシア」に向けられたのです。
まさに勝負は時の運ですね。

おかげでレティシアには4カートンのビールがあります。
 
 

勝った後のビールは最高!! 優勝艇「レティシア」のメンバー]