Record Of Race Participation
2014年12月06日
イーグルⅠ世(Y23Ⅱ)が今年参戦した、第34回ミニトン全日本選手権と、第17回横浜ベイサイドマリーナオープンヨットレースについて、中村が参戦記を掲載します。その前に、これらのレースに参戦する切っ掛けになった、この2年間のことをお話します。 イーグルⅠ世は、2002年にTYCレースに参戦してから2012年まで、11年間皆勤でレースに参加し、お蔭様で何度か年間総合優勝も出来ましたが、もしも、小型艇の最高峰のレースであるミニトン全日本選手権に参加したら、自分達の力量はどのくらいだろうと思いました。更に、オープンレースとして東京湾や相模湾で開催されている大きな大会がありますが、その大会に参加し、いくつタイトルが獲れるか挑戦してみたくなりました。そして、2013年の目標として、ミニトン全日本を含む5つの大会にチャレンジし、優勝することを目標に掲げました。
かなり、無謀な目標でしたが、掲げた5大会のレースがこちらです。4月 東京湾ダブルハンド6月 初島ダブルハンド7月 スバルザカップ9月 ミニトン全日本選手権10月 横浜ベイサイドマリーナオープンミニトン全日本以外、東京湾や相模湾では大きな大会ばかりで参加艇も多く、サンデーセーラーやアマチュアチームにとって、一度は優勝してみたいレースだと思います。イーグルⅠ世チームは、2007年にミニトン全日本が浦安で開催された際、参加したことがありますが、8艇中ダントツの最下位でした。その当時のクラブレースでは、それなりの実績もありましたが「井の中の蛙」だったかもしれませんね~...(*_*)
掲げた目標を達成するには、これまでの練習方法や練習量を強化する必要がありましたが、その為には、一年を通して毎月土日の時間がかなり束縛される可能性がありました。さすがに、それまでのクルーにも都合もあるかと思い、一旦チームは解散し、新たなチーム作りをすることから始め、私の掲げた目標を理解してくれた方が集まり、2013年の新春から2~3人で練習をスタートしました!
レベルの高い練習を行うため、前年から何度かコーチングをして頂いていた、プロセーラーの本吉夏樹氏に、これからのチーム目標を相談し年間を通して定期的なコーチングを行って頂く依頼をしました。本吉氏の経歴は、ヘルムスとして全日本マッチや他のタイトルを、何度も獲っている日本を代表するプロセーラーであり、ヘルムス以外のポジションスキルも一流です。更に艇のメンテナンスやチューニング、セール制作のコーディネイトも出来る方です。そんな方からコーチングを受けるためには、頭の中を真っ白にし、これまで独学で覚えたことは全て捨てて、セーリングにおける基礎から学び直しましたが、ティラー操作、タック、ジャイブの動作は、今まで自分が行ってきたことと微妙に違っていることに気づき、徹底的に練習しました。ヨットレースでは、クルーワークも重要ですが、艇のスピードや上り角度はヘルムスのテクニックが重要になります。艇速が遅ければ戦略や戦術も厳しいものになり、ヘルムスとして上達しなければ、如何に目標を高く掲げても叶わぬ夢で終わってしまいます。
本吉氏のコーチングは、月に1~3回のペースで行い、レースも含め年間約30回のコーチングを受けました。海上練習は、朝10時過ぎから16時前後まで行い、毎回、艇のスタンにGoProを取り付けて練習の動きを撮影し、練習後は2時間程、その映像を再生して本吉氏からティラーコントロールやクルーワークの良い点、悪い点を解説してもらい勉強をして来ました。微風から強風など、風速の違いによる帆走方法もまったく別物になり、一歩一歩時間を掛けながら習いました。
その結果が実り、2013年に掲げた5大会中4大会を制覇し、その年の最後に参戦した横浜ベイサイドオープンは、ライバル艇に4秒差で敗れ惜しくも準優勝!目標に掲げた5大会の完全制覇は達成出来ませんでしたが、チームとしては素晴らしい成績でその年を終えました。チームとして一番の目標としていたミニトン全日本に初優勝出来ましたが、過去の優勝艇が一番多く輩出しているのは琵琶湖所属艇であり、イーグルとしても強いチームが所属する琵琶湖で戦いたいと思いました。そこで2013年の暮れに次の目標として、2014年は琵琶湖で開催されるミニトン全日本に優勝して2連覇し、そして、横浜ベイサイドオープンではライバル艇を破り、リベンジすることを目標としました。
これまた、無謀な目標になりましたが、横浜ベイサイドオープンで敗れたこともバネになり、また、新たな目標に向かって練習を再開しました。2014年の年明けに1年間の年間練習計画を経て、それに向けて練習が始まりましたが、自主練習も含めると毎週土日のどちらかは練習していた感じがします。琵琶湖は、微軽風が多くうねりや潮の影響はないようですが、風はシィフティーで独特な癖があるコンディションだと聞き、そのイメージを想定して練習を重ねました。
TYCのクラブレースは、2013年からY31Sのクルーとして参加していたので、イーグルとしては参戦していませんでしたが、浦安のTBCレースには参加し、レース感覚は養うようにしていました。同じミニトン艇の隼スピリットⅡさんが参加しており、一緒に帆走できるのが勉強になりました。今年は、そのTBCレースに7戦参加し、14レース中6回優勝でき、お蔭様でBクラスにて年間総合優勝できたようです。12月13日(土)にホテル舞浜ユーラシアにて浦安マリーナの忘年会と一緒に表彰式も行われる予定です。
さて、いよいよ第34回ミニトン全日本選手権についてです!レース日程が近づいた頃に接近していた台風19号の影響が心配されましたが、大会運営側から開催する旨の連絡もあり琵琶湖遠征が決行されました。結果的には何とか初日に3レースでき大会が成立しました。しかし、2日目は台風19号の影響で中止となりました。
初日に行われた3レースを、イーグルはオールトップでフィニッシュし優勝!お陰様で、念願の2連覇を達成出来ました。今回の大会では、Y23選手権とミニトン関西選手権も同時に開催されており、沢山のトロフィーや副賞を頂きました。1レガッタで、これだけ多くの優勝目録を頂けるのも凄いですね!
今回の琵琶湖遠征を振り返ると、東京夢の島マリーナからの陸送準備も含め、奇跡的な日程で可能になった感じがします。まず、マストダウンの陸送準備ですが、それは台風18号が来る前の4日(土)に行うことができ、午後から船底磨きも少しできましが、翌日の5日は一日雨で何もできない日でした。台風18号は6日の午前中遠ざかり雨の影響がなくなって、陸送する7日の昼まで船底磨きを行うことも出来ました。そして、台風19号の発生で大会自体が中止になる可能性もありましたが、7日の夜に大会開催決定が下され、陸送も予定通り開始!
9日(木)の9時に艇が琵琶湖のレークウエストヨットクラブに搬入され、15時に3人が車にて琵琶湖入りしマストアップ! 夕方、雨が本降りになりましたが何とかマストを立てることは出来ました。10日(金)の午前中に艤装を完了し、午後から練習及びマストチューニング!風も1~3m、そして時折4~5mの風速があり、いい感じで予定をこなせました。11日(土)の午前中も出航しましたが、風は弱くプカプカ状態・・・同型艇のY23艇がいたので近づき風も出てきたので並走練習し、その後、並走した感覚をもとにマストの再チューニングを行えました。
台風の動きが当初の予定より少し遅くなり、12日(日)は大会1日目が予定通り行われましたが、琵琶湖では珍しく安定した4~6mの風速があり、当艇にはとても走りやすい風でした。もしも前日土曜日の1~3mの微軽風だと、イーグルにとっては厳しいレースになったかも知れません。そして、13日(月・祝)は、台風の影響が大きいため2日目のレースを行うことができなくなりましたが、もしも、この台風が少し早目に来ていたら大会自体が全て中止になっていた可能性もあります。13日が中止となったので、12日のレース後に艇の上架をし、マストダウンや陸送準備がスムーズに出来ました。そして翌日の13日は、早朝から凄い風と雨模様! とてもレースが出来る状態ではありませんでした。
艇の陸送は台風19号が過ぎてから行うことになるので、本当に全てが偶然だとしても奇跡的な日程で、しかも、イーグルチームにとって最高の状態で行うことが出来ました。今回の天候については、1日、もしくは半日、遅くても早くても、イーグルの琵琶湖遠征にとっては、辛い準備やレースになっていたかもしれません。本当にラッキーでした。 運も味方してくれた感じです。大会開催の準備や運営を行って下さったミニトン全日本実行委員会や関係者の皆様、そして、琵琶湖遠征でご協力頂いた皆様には、本当にお世話になりました。
台風19号が過ぎ去った10月15日(水)に、琵琶湖のレークウエストヨットクラブからイーグルが搬出され、翌週のYBMオープンに参加するため、夢マリには戻らず、翌日の16日(木)に無事、YBMに搬入されました。16日は搬入だけで、17日(金)に4人でマストアップ&チューニング!琵琶湖遠征でマストアップダウンに慣れたためか、お互い手際が良くなり、梱包を解く作業やリギンの取り付けなどかなり早くなった感じです。慎重かつ丁寧に作業を行いましたが、約1時間半でマストアップが完了! そして、午後からセーリングし、約1時間マストチューニング!
今回も本吉氏が、ミニトン全日本同様、念入りなチューニングを行ってくれました。数ミリ単位の調整は流石プロの仕事で勉強になります!レース当日の風の予報は微軽風でしたので、クルーはいつもの5人から4人に減らしましたが、レース本番は4~5m/sの風速で思ったより風がありました。スタート前からライバルのSPRAY艇とはポジション取りの駆け引きを行い、多少アウター寄りからスタートし、その後、お互いがミートする中で、当艇がスターボーでクロスする際、タックしポートで上側からブランケを仕掛けると、それを嫌って左海面に逃げタックの対応!
当艇が描いた右海面に行かせない作戦は成功し、その後、同型艇のトールボーイ艇と上マークをほぼ同時に回航しましたが、当艇の戦闘力が高いスピンのダウンレグで引き離し、その後も安定した帆走で2位のSPRAY艇や後続艇を抑えて、そのままクラス中トップでフィニッシュすることが出来ました。昨年、敗れた悔しさをバネに一年間練習をして来た甲斐があり、リベンジすることが出来ました。
しかし、ちょっとした判断ミスや、トラブルが起きれば、直ぐに追い付かれる状態で最後まで気が抜けない白熱したレースでしたが、最高に楽しめました。YBM広報誌には、横浜ベイサイドオープンヨットレースの記事が掲載されたようで、当チームが表彰されている写真も掲載されていました。
イーグルⅠ世チームは、今年も、大きな目標を達成することが出来、素晴らしい一年を過ごすことが出来ました。これも、本吉氏のコーチングとチーム皆が一生懸命頑張ってくれたお蔭ですので、先日、熱海のホテルで行ったチームの納会では、何か記念にと思い、一人一人に感謝の気持ちを刻んだ、クリスタル盾の感謝状を全員に贈呈しました。