いつかは世界一周

 

 マドカル2世号船長 土田 明

   東京ヨットクラブのMLでオランダ艇が世界一周の途中に夢の島マリーナに来ていると知った。

 6/21(土)にマリーナの一番端に係留されている真っ赤な外洋レーサーを訪ねた。
ハンスとルースの二人はとても穏やかなカップルで、ていねいに船内を案内してくれた。お互いに外国語である英語で話しをしたが、不思議にヨットや海の事は通じる。
初めて見る、ウォーターバラストのポンプの配管や昇降式のセンターボードのシステムを詳しく話してくれた。彼らのHPにある船体のスペックを見ると、約50%のバラストのほかに1000リットルのウォーターバラストタンク、38fでマストの高さは20Mを超えている。内装はほとんどFRPがむき出しでドッグハウスにも断熱材は無い。左右にたたみ一畳にも満たないベッドが一つづつあり、後は航海に必要なものだけである。ティラー仕様でウィンドベーンは無い。「追い風ではあまり役に立たないので」と話してくれた。航海中は四時間交代で操船をすると言う。人懐こい目が印象的な二人はバリバリのレーサーだった。「THE WIND CRIES」「風の叫び」と名づけられたこのヨットでの彼らの旅は三年を超える。

 天気が良ければ来週火曜日に出航だと聞いたので、時間が有ったらマドカル号に来てほしいと伝えて早々に失礼したが、ほどなく彼らが尋ねて来てくれて突然のビアパーティとなった。ご近所のケリー船長と私の友人の5人で語り合い、ビールの空き缶が見る見るたまってゆく。あっという間に3時間ほど経ち、私に予定が無ければ朝まで話していたと思う。

 出航準備については、TYC役員の佐々木船長の報告が興味深い。許可を得て転載させていただく。「午前中、入管に出向き出国手続きをして、午後2時に税関の係官が船まで来て確認をしました。これで、出国の手続きは終了です。」ヨットでの出入国の様子が良くわかる。

 次に買い物について。「ここからが肝心の、、、何を買ったか?リンゴ10個、バナナ10本、グレープフルーツ10個、卵、2パック、ベーコン3パック、小魚が入っているおつまみ10個入り2袋、キャベツ2個、青梗菜2パック、ニンジン6本、玉ねぎ15個、豚肉1キロくらいの合計2万円程度のか支払いでした。ジャガイモは持っていかないそうです。理由は聞き洩らしました。米は日本では高いのでオーストラリアで購入したそうです。主食にしているそうです。ちょっと意外でした。果物が中心でした。おそらく、保存が効くものは事前に購入して有って、出港直前に生鮮食品を購入したものと思われます。」

 カナダのバンクーバーまでいくら早くても1ヶ月以上にわたる航海の食料だが、新鮮な食べ物は二週間ともたない。考え抜かれた究極の買い物だ。グアムから大阪までの航海で釣り上げたマグロを六日間食べ続けたと話してくれた。決して物事を過大に話さない人柄だが、買い物の中身を知ると納得ができる。

 世界中周って何処が良かったかを聞いたら、沢山在るけれど自然がすばらしいと、特にマダガスカルが好きだと話してくれた。
 フライング ダッチマン。出港から10日間で銚子から2500km沖を航行中だと知った。すでにカナダまでの三分の一、海流と貿易風に恵まれているようだ。親しくなると余計に、ただただかれらの安全航海を祈るばかりである。

 ヨットマンならだれでも、いつかは私もと思っている。
皆さんの出港は? マドカル号の出港は?
それはお互い、運命の時間割に任せることにしよう。


 
 
左からハンスさん、ルースさん、ケリー船長と私

 


「THE WIND CRIES」号(彼らのHPから拝借)
 
 
釣り上げたマグロとハンス(彼らのHPから拝借)

 

 
 

6月22日和田会長と高山副会長でハンスさんとローズさんに江戸情緒あふれる手ぬぐい、
風呂敷で作られたポシェットを記念に、そしてTYCポロシャツとバージも贈りました。
あいにくの雨でしたがクラブハウスには10人くらいの会員が集まり
にぎやかな懇談となりました。(ハウス委員長 高橋 弘)